ありがとう♪の言葉

父は現在83歳。心身ともに元気ではあるが、いわゆる昭和ひとケタ生まれ？を絵に書いたような人。自分勝手でいつも自分中心に物事を考え、自分が思うようにいかない事があれば焦れて文句や愚痴を言い、家族皆を嫌な気分にさせる。ただ、不思議と外面はいいのか、他人には｢寡黙でとてもいいご主人(お父さん)ですね～｣とよく言われる。

そんな父が先日山登りに行った際、転んで足を怪我した。骨折はしなかったけど、ひざから下は傷が出来て医者に行ったらしい。｢自分が転ぶなんてあり得ない｣と思ったのだろう。そのことにも納得が行かないらしくとにかく機嫌が悪い。また、このところの冷え込みもあってその怪我のせいかもあるのか、足が凄く冷たい!寒い！というので母が貼るタイプのホカロンを買ってきたりレッグウォーマーを貸してあげたりしていた。母はこの頑固な自分勝手な父親はには嫌気がさすところもあるが、やはり連れ添った夫婦。なにかあれば心配をし、気を掛け声をかける。

あまりの足の冷たさと痛みも出てきたということで再度医者に行ったらしい。結果、怪我の炎症で膝に水が溜まっていてそれを抜いてずいぶん良くなった、と朝話していた。｢あの足が冷たいのは水が溜まっていたからだ｣とか｢本来ならあんなところで怪我するなんて事はあり得ないんだ｣とか言ってるので思わず私は言った。

私　｢まぁ水も抜いて痛みも少し良くなって良かったと思うけど、それに対してばーば(母)が気を遣ってレッグウォーマー貸してくれたり、貼るタイプのホカロン買ってきてくれた事にありがとう!とかいう事を思ったりしないわけ？そういうのって思わない？

父｢そんなもんない!｣(その場から立ち去る)

自分を作るのは自分のみ。いくら相手が変えようとしても、相手が何を言っても自分が受け入れなければ、聞かなければ変わらない。おそらく今までも変えられる機会が何度となくあっただろう。ただいつもそういう言葉から逃げ、自分と向き合うという事をしてこなかった人生なのだろう。良かった時は自分のおかげ、悪いことがあれば自分に不都合な事があれば(他)人のせい。本人はストレスなんて感じたことない！と言っていた事があるがそうだろう。それはいい。だがそれは周りの人が嫌な気持ちにならなければ、の話である。自分ひとりで生きて来れたわけではないだろう。せめて人生が終わる前に気づいて母に｢ありがとう｣という日が来る事を祈るばかりである。